『かもめ』

琴ちゃんの初主演バウ「かもめ」観てまいりました。

実力派が好きな私、琴ちゃんはみっさまの次に気になる存在になってます。

ロミジュリの「世界の王」で歌ったワンフレーズやターン一つで感動し

フィナーレ群舞は、完全オペラロックオン。

宝塚じゃない(バレエ風味のない)踊り方がたまらなくカッコいい!

先日の「ナポレオン」新人公演では、

男役の低い声が出来上がっているのも確認し、ますます盛り上がり

あまりの美声に、最近まで車の中ではずっとコレでした。

みっさま以外ではたまきちも好きになりましたが

たまきちの魅力は

「男役らしい立ち姿と優しさ。その逞しい背中に後ろから寄り添いたい」

みたいな。

それはそれで圧倒的に惹かれているのですが

何度も観て感動できるのは、やっぱり「歌」と「ダンス」の実力です。

琴ちゃんは見た目があまりにも幼く、丸顔が見事すぎで

最近人気のシュッとした今風顔とはかけ離れていますし、

ぽちゃぽちゃスタイルは否めません。

ですが、すでにファンの数も尋常じゃないとか?

そんな琴ちゃんが主演公演って奥さん! 

あの歌とダンスとエエ声のセリフをメインでたっぷり見せてもらえるってどうなの?

一体どんなドリームを私に見せてくれるのっ?

鼻息を風速40mで吹かしながら、友会でチケットもエントリー

その期待の大きさは、毎日、指折り数えるほどでした。

ポスターは何やらシャツ一枚でアンニュイに寝転んでて

「チミ、まだそれは早かろう」感がぬぐえませんでしたが

考えようによってはこの路線で、

年上の女性に情熱をぶつける蒼い青年とか

年上の女性に翻弄されて雨の中でぼろぼろになったりとか

そういうのでもよろしくってよ!

でないと、小さな恋のメロディになってしまうし!

などと勝手な解釈で受け入れつつも

とにかく何の知識も入れずに挑みました。

舞台上には、十五少年漂流記か!みたいな粗末なセット。

ボロ布が幕になってて、木で組んだだけの舞台っぽいものがあるだけ。

嫌な予感が漂います。

バウと言えば、まず最初に主演が何もない舞台に1人でジャーンと登場して

ひとしきり歌うなり踊るなりのお披露目が必ずあるじゃないですか。

まず、あれがなかった…。

うそやん~楽しみにしてたのにいいい~~~。

超がっかりな中、なんとなく始まってしまいました。

今回のお芝居は、チェーホフっていう人の戯曲です。

シェークスピアも大の苦手な私にとって、このスタイルは拷問でした。

登場人物のみなさんのセリフがすべて、何かに例えたりするポエム調で、

朗々と、かつ長々と、語りに語るのです。

植田理事長のセリフを理解するのと同じくらいきつい。

事件なし、もりあがりなし、歌なし、ダンスなし、主人公どうでもよし、

ただ淡々と日常らしきものが通り過ぎていくだけです。

世界的に有名な作品とのことで、観る人が観れば感動するのかもしれませんが

芸術にうとい私はポカーンとしたまま、メモも取れないまま時間が過ぎていきます。

舞台はどっか田舎の湖畔の街。

琴ちゃんは演劇づくりに情熱を燃やしている青年で

一言で言うと、ニート。

琴ちゃん母(コロちゃん)の兄(みきちぐ)の家に住んでるっぽい。

みきちぐはジジイで、琴ちゃんのことを可愛がってて

出番もすっごく多いです。もちろんうまいのでここは安心感。

コロちゃんは傲慢な女優で、私が私が私が私ガー

いかにもコロちゃんに合いそうな役。

そういうキャラクターがついちゃって気の毒なくらいです。

出番もセリフも豊富で、もしかしたら琴ちゃんより多いかも?

今回の主役かと思ったほどでした。

コロちゃんの愛人に、有名小説家のミッキー。

通常からイケメン運転のミッキーですが、髪もド金髪にして、

琴ちゃんがまだできない、完璧なスーツの着こなしもこれみよがしに

眼福極まりなかったです。

そんな愛人に夢中で、自分ガーなおかんに辟易している琴ちゃんは

自分の作品の主演には大好きなニーナ(城妃美伶)を使っています。

ニーナは女優志望で、めちゃめちゃ野心たっぷりな娘。

城妃さんって、顔の中身はめっちゃめちゃ可愛いんですが

輪郭が完全に将棋の駒なんです。

中身が可愛い分、そのごっついエラが気になって気になって…

歌も演技も上手くて、ヒロインにもってこいなのですが

「王将」の文字が絶えずちらついてしまいます。

いよいよ琴ちゃん演出の舞台が始まりました。

しかしその内容は前衛的で意味不明。

コロちゃんが「おもしろくない」みたいなことをバンバン口にして

傷ついた琴ちゃんはどっかいっちゃいます。

城妃さんは、インテリチックでイケメンなミッキーにメロメロに。

自分の劇はボロカスに言われるわ、失恋するわで、落ち込む琴ちゃん。

かもめを打ち殺して、城妃さんに渡したりして、メンヘルっぷりを炸裂。

その後、自殺未遂もするらしい(伝聞のみで、そのシーンはなし)

みきちぐの館の管理人にさやかさん。

さやかさんの娘に、可愛い可愛いはるこちゃん。

はるこちゃんはネガティブシンキングで常に不満。

金がなくて情けない瀬央ゆりあからアプローチを受け続けています。

はるこちゃんは、本当は琴ちゃんが好きらしい。

存在意義が謎な、なぜか常にいる医師どいちゃん。

ロマンスグレーのおじさまで、しばらく誰かわからなかったです。

お尻がめっちゃプリケツで、終始そこばっか目が行ってしまいました。

城妃さんはミッキーに猛烈アタック。

ミッキーもまんざらでもなくなります。

琴ちゃんは2回だけ歌いました。

優しいラブソングで、いきなりそこだけ宝塚の世界を思いだす。

なんという甘い声…夢を運ぶ歌声に

身も心もとろけてしまいそうになりますが

いずれも約2分と約1分という短さ。

そんな感じで1幕終了。

えーっと…誰が主役だったっけ?

2幕。

琴ちゃんは作家としてなんとか生計を立てられるようになったらしい。

コロちゃんとミッキーが自分の家に帰る帰らない

さやかちゃんに馬を出せ、馬はない、とか、やたらもめてた。

琴ちゃんとコロちゃんのシーンに注目。

琴ちゃんが自殺未遂した傷の包帯をコロちゃんに巻いてもらいつつ

「本当はママのことが好きなんだ~」みたいなゴロニャンモードになり

なんだオイ、きもいぞと思ってたら、突然

「なんでミッキーなんかとつきあってるんだああああ」と、ブチ切れ。

コロちゃんもヒステリー起こして、2人でなんか激しく歌いあった後

琴ちゃんはいきなり「ママ~、ママ~」と号泣。

ママも「よしよし」みたいになってます。

こ・・・これは・・・ドン引き。

琴ちゃんは「ママ~ママ~」と、幼稚園児みたいに泣くために

バウ主演をしたんじゃなああああああいーーーー(桜島大噴火)

城妃さんはミッキーと結婚して子供も産んだけど捨てられ

ミッキーはまたコロちゃんとよりを戻した(伝聞のみで、それらのシーンはなし)

かわいいはるこちゃんは、その後、瀬央さんと結婚したが

あいかわらず不満ばかりで、瀬央さんしいたげられまくり。

みきちぐの寿命がそろそろ尽きそう → みきちぐソロ

ボロボロになった城妃さんが、琴ちゃんのもとにきて

琴ちゃん感激! ラブソングを歌う。

約1分半、また短い!!!

けど、あああ~~~泣きそう~~~~これを見たかったのよ~~~

やっとラブシーンは盛り上がるのね?と思ったら

城妃さんが「ボロボロになったけどまたやり直すわ」

みたいなことをポエム調で長時間、1人で大演説して去って行きます。

無言で聞いてた琴ちゃんは一人取り残され

1人で絶望のダンス。

これがもうーーーー見たことないほどドラマチック・・・

私のハートをわしづかみにして雑巾絞り。

やられたあああああと気絶しそうになりましたが

1分くらいであっさり終了。

その後、自殺(拳銃の音がしただけ)

フィナーレはなしで、全員あっさり登場して終わり。

登場人物は皆、なんの事件も起こさなければ、なんの魅力もない。

やってる生徒さんはこの公演に当たって、

どうやって自分を奮い立たせてるんだろう?

気の毒と言うより、不思議でたまりませんでした。

歌とダンスのレベルの高さで大物の予感に全米が期待した

琴ちゃん主演公演で、出番なし、歌なし、ダンスなし、

ただメンヘルニートが「ママ~ママ~」と泣き叫ぶだけだった…。

でも、私は気づいたのです。

そんな中、2分、1分、1分半の歌と、1分程度の絶望ダンス

これだけで衝撃を受けたんです。

これを全編やられたら、今の2番手たちの立場がない。

全員、終了してしまう。

だからあえての「歌とダンス封じ込め作戦」なのだと。

プログラムで小柳先生は、

「チェーホフの脚本は、登場人物も少なく、大事件が起こるわけでも

確固たる主人公を中心に話は展開するわけでもなく、スターシステム

ドラマティックを標榜する宝塚歌劇とはなにもかも正反対に思えます。

ですが、だからこそ、今回、かもめを上演することが

意味があるのではないかと思っています」と語っています。

宝塚はいろんなことにチャレンジしてきたからこそ100周年を迎えられた。

バウは大劇場ではできない実験的な作品や修業の場。

生徒、演出家、スタッフ、客にも新たなチャレンジをすることが意義。

なんだそうですよ。

言わせてもらう。

     よ    そ    で    や    れ

結局、「かもめ」は

「出る杭は全力で叩きのめせ」公演だったのかな。

琴ちゃんももしかして、みっさま路線なのかな(自虐)

そんな風に感じた舞台でした。

その答えは、次にあるカレーのバウで出るんじゃないかと思います。

カレーは歌が超ヘタクソで演技もまだまだですが

劇団ウケする細い顔と、キザな眼力がとても今風ヅカスターです。

キキちゃんを追い越しそうなほど急成長してきた文句なしの超路線。

このカレーが主演するバウで、

いつも通りオープニングにカッコいいダンスがあり

最後に華やかなショーもついて、

主演でーす!みたいな内容だったら…。

いったんは、いくらなんでも2回は観れねえ!と思いましたが

あまりのあまりに、もしかして私の勘違いかな?

いつも舞台稽古はつまらないってなるから、

本当はすごく面白いのかもしれない。

ただ私が頭が悪くて理解できないだけで、普通は感動するのかもしれない。

それに「余りの凄さをもう一度確認したい」という思いもあって、

やっぱり行くことにしました。

2分、1分、1分半の歌と、1分の絶望ダンスだけでも観る価値はあると思いながら。

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