『バレンシアの熱い花』と言えば、みっさまが飛ぶ鳥を落とす勢いだった時代の思い出の作品でもあります(涙)柴田先生らしい古き良きザ・宝塚で中身に関しては何もいいますまい。ロマンチックレビューと、全国ツアーらしい組み合わせで、安心と安定の作品でした。
曲は前前回の大劇場公演『モアーダンディズム』でたくさん披露されてたため、作品を見たことがない人でも耳馴染みもばっちりです。
≪品格あふれるかちゃ様の主役≫
しかしドラマシティを見慣れて梅芸に来たら、その広さにおののきました。客席はもちろん、舞台の高さと広さは3倍くらいあるのではと思うほどで、セットもドラマシティはギチギチで梅芸はスカスカかい!みたいな、いろいろ戸惑いました。
≪皇室かちゃ様の大冒険≫
――19世紀初頭のスペイン。かちゃは領主であった父を殺したのが朝水パイセンだと知り復讐を誓う。みきちぐに言われて機会を伺うために遊び人を装い、婚約者のなのちゃんもほったらかしで酒場に出入りし、せおっちやなこちゃんと出会う。やがて、なこちゃんと身分違いながら惹かれ合うのだった。
かちゃ様は徹底して二枚目を演じております。柴田作品の主役は特筆することもなく、主役らしく突き進み、こじらせるわけでもなく、ツンデレでもなく、純朴で、男らしく、やさしく、わかりやすい、日活的というのでしょうか。まるで皇室の人みたいなかちゃ様にふさわしくて、いいと思います!
朝水パイセンが復讐の相手になってて、めちゃ憎たらしい役です。オレキザキがその手下でなぜ逆の配役ではなかったのでしょうか。パイセンが悪いわけではないのですが、オレキザキは『赤と黒』のレナール侯爵をやっても不思議ではないくらいの実力者だと思うだけにものすごく謎です。もしやパイセンは次で…
≪荒くれせおっち≫
せおっちが演じるラモンは荒くれ者風だけど中身はいい奴で、なこちゃんに片思いしています。かちゃ様から朝水パイセン退治に誘われ、一旦は断ったものの、オレキザキに妹のみらんちゃんを殺されたことで参加することになりました。妹の亡骸を抱いて「ローラア~~~」と絶叫するのは『VERDAD』再びすぎて、ギャグ場面にしようとしているのでしょうか。
≪やっぱり絶対的ヒロインなこちゃん≫
今回、ことなこヲタに衝撃を与えた別箱の別れ。でも長期政権のためには、リフレッシュできて良い試みかもしれません。塩味チップスターかちゃ様に並ぶなこちゃんはとても華やかで、さすが娘役トップスター!我らが大切な嫁!!
しかし今回、客観的になこちゃんを観ましたが、明らかに圧が強い。顔芸もすごいですし、ダンスの可動域というか表現力も群を抜いていて、そんじゃそこらの男役じゃ太刀打ちできないというか、受け止めきれないなと思いました。どうしても無理に手加減してるように見えるので、やはり琴ちゃんじゃなきゃ。お互いが遠慮することなく全力を出し切って、ぶつかり合える相手でなくてはいけない。そんな常時高みを目指す精神を植え付けられてるような気がしました、夫に。
≪キラズコに磨きがかかるキワミ≫
――一方、貴族のキワミシンは、自分が留学中(?)に恋人の水乃ゆりちゃんが無理矢理朝水パイセンに嫁がされていたことにショックを受けていた。かちゃに誘われ、最終的にせおっちと3人で黒いマントのヒーローに大変身する。
内部調査を手伝ってくれる天飛の助けも得て、3人の目的は果たすことができた。しかし、ゆりちゃんはこの世を去り、なこちゃんも身分違いと身を引き、かちゃ様はもとの世界に戻っていく。
キワミはますますカッコよくなり、キラキラ輝きまくっています。まぶしいばかりに発光しながら、歌うとズコーっとズッコケるあたりの落差が相変わらずたまりません。いつまでも大切にしてほしい、ゆあじゃがあ。水乃ゆりちゃんも同様です。
『パッション・ダムール・アゲイン!』
オープニングはかちゃ様の衣装が地味。もうちょっと派手なのにしてあげなきゃ、埋もれてしまう。トップスターじゃないからかもしれないけど、せめて違う色味にしてあげてほしかった。せおっちの衣装が、かつてみっさまと琴ちゃんが着てた衣装なのがひそかにうれしい。
【夢アモール】
せおっち・キワミ・あまと3人で夢アモール。これは姿月さんがトップ時代の公演で好きだったシーンなので、当時の甘酸っぱい気持ちがよみがえって胸いっぱいになりました。
【ガウチョ】
このシーン、たしか昔、とうこちゃんで見てつらかった記憶があります(泣)。琴ちゃんもボニータでチャレンジしてハラハラした(ハラハラすんな)白いたっぷりブラウスに黒いガウチョ。さすがのかちゃ様は抜群のスタイルで美しく着こなし、華麗に踊っていました。
【ロマンス】
なこちゃん、猛烈にかわいいいいいい~~~~~悶絶必至です。そして背後からやってきたあまとのイケメンなこと!いつのまにそんないい男に…。
【BAD POEWR】
なんですか、これ。めっちゃ楽しいんですけど! せおっち中心で黒シャツネクタイのカッコいい男役たちの群舞に、客席が手拍子っておかしくないですか? その振り付けもなんかおもしろいのかカッコいいのかわからなくて、これってせおっちだから? また気づくと心の中で「がんばれ、せお!負けるな、せお!」って叫びながら、手のひらが痛くなるほどたたきつけていました。なに、もう一回見たい!!!すごく良かった!!!
ちなみに雪組の全ツでもこのシーンあったらしい。全然覚えてないけど、咲ちゃんに対して応援の感情はわかなかったことだけは確かだ。
そして現れた親友の嫁なこちゃん。ものすごい切れ込みの入った金色のドレスで美脚をおりゃあと上げ、せおっちもその脚をなであげますが、やはり持て余し気味なのは否めない。
【ノスタルジア】
姿月ファンの私が最高に好きだったシーンです。また見れて満足です。
【衝撃のサヨナラショー構成】
かちゃ様がキラキラ黒燕尾で踊って、それで終わりかと思いきや、なんとそのあとで、せおっちが一人で登場します。そのスタイルが、白いキラキラ燕尾で胸に青いバラ。歌う曲が「All By Myself」。そして登場する数人の白い男役ダンスに囲まれるとか、まるで絵にかいたようなサヨナラショーで、これはちょっと動揺せざるをえません。
そして、エトワールに突入@なこちゃん
かちゃ様の黒燕尾→デュエットダンス→エトワールのような王道コースは、トップスターじゃないから、させられないのかもしれませんが、それにしてもこの構成は…。
1789の日程を見ると、サヨナラショーがあることが確定していて、せおっちしか該当者がいないと言われています。そのため今回の全国ツアーは、せおっちの餞別のためにかちゃを主演にして、ショーで見せ場を持たせ、大羽根を背負わせるためだったのでしょうか。
確かにありちゃんが来てせおっちの立場は苦しくなりました。でもせおっちがトップになるとははなから誰も思ってはいません。いや、これはせおっちを否定しているのではなく、本人だってそう思ってるはず(フォローすればするほどなんか妙な方向へ)。
せおっちの人柄がそのまま出る演技は星組の宝だし、もう少しいて何の問題があろうかと。ちなちゃんだってまだいるじゃないか! なによりせおっちは琴ちゃんの精神安定剤なんです、心の支えなんです、同時退団してくれると思ってる、うう…(泣き崩れて追いすがる)
せめて大劇場のショーで、盛大に見送らせてほしい・・・。
たぶんくらっちが1789で辞めるでしょう。くらっちほどのレベルになったらサヨナラショーができるはずだから、くらっちのための日程だと私は信じています。
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