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月組 「New Wave! -月-」2014年1月28日掲載

シックで硬質な雰囲気で… 「月組、サイコー」

  • センターで王子様らしいキラキラをふりまく、 美弥
  •  ダルマ衣装が映えるスタイルは圧巻、 鳳月 
  • 大劇場ではお目にかかれないシーンの連続、 宇月
  • 男役の色気が本格的に匂い立つ、 珠城
  • 舞台では一転、堂々さと度胸も満点、 咲妃

 宝塚月組バウ ショーケース 「New Wa ve!-月-」 が、 1月18日に初日を迎えました。 昨年末に上演された花 組バージョンに続くもので、 月組では美弥 るりかさん、 宇月颯さん、 鳳月杏さん、珠 城りょうさんを中心に計22名が、 若いエネ ルギーに満ちたパワフルな舞台を披露。 花組とは一味違った雰囲気も見逃せませ んでした。

この「New Wave!-月-」は前作の花 組同様、これまで上演されてきた月作 品を彩る名場面や、広く愛されている名 曲の数々を、 歌とダンスで繰り広げるエン ターテインメントショーです。 

 花組から続くシリーズとはいっても、 組 が違えばカラーもガラリと変わるのが、 今 回の最も大きなみどころ。 花組は元気一 杯弾けたポップさと柔らかさが印象的でし たが、今回の月組は、 元気さの中にもシッ クで硬質な雰囲気が感じられ、 まったく別 ものの公演のようでした。 

 はっきりとした華やな容姿が魅力の美 弥さんを中心に、ダンスで若手メンバーを 引っ張る明るさいっぱいの宇月さん、鋭い まなざしがクールな鳳月さん、 立ち姿の美しさで群を抜く珠城さんを筆頭に、若手メンバー全員が歌にダンスに得意分野を見せつけます。バウでは珍しい生バンドの迫力と客席降りでの熱いコミュニケーションで、 場内の興奮はやっぱり「ニューウェ ーブ」。宝塚100周年のバウホールの第一歩を華々しく飾りました。

 センターで王子様らしいキラキラをふりまく、美弥

 花組が「ダンスの花組」 と呼ばれているとするなら、 月組は 「芝居の月組」。 いずれもファンの間に流れる定 説で、あくまでもイメージなのですが、 それも納得できるような、 達者な空気感は確かにあるかもしれません。歌やダンスのシーンが続く中にも芝居心が香るのは、気のせいだけではないはず。 同じショー形態でも、 組によってまったく雰囲気が異なるのも、 宝塚の5組制度ならではの面白さですね。
 オープニングは4人が銀ラメのサンバ衣装に身を包み、 過去作品のメドレーで展開します。 「情熱の翼」 「UNO」 「EL VIENTO」 と、いかにも月組らしい名曲が続き、 組ファンなら特に感慨もひとしおでしょう。 歌詞の 中に「月組、 サイコー」というかけ声も織り込みながら、 舞台と一緒に客席もスタートからテンションUPです。
 若手メンバー紹介の後は、4人が客席に降り、 ムーディーにアレンジされた 「Do you wanna dance?」 でお客さんを次々と悩殺、 さっそくメロメロに。 この距離の近さがバウ公演の良さなんですよね。4人のメインメンバーは、それぞれ強い個性を持っていて、今回のステージではそれがいかんなく発揮されていました。 
 メンバー最年長となる研11の美弥さんは、大きな目が印象的な美貌の持ち主ですが、 低音が魅力の演技 派。 冷酷なドイツ軍将校から青春高校生やハッカーまで、幅広い役づくりでいつも驚かせてくれますが、 今回 はショースターとしてセンターに立ちます。 歌もダンスも安定の実力で、 小柄ながら王子様らしいキラキラを終始ふりまいていました。 

ダルマ衣装が映えるスタイルは圧巻、鳳月


 鳳月さんは 「月雲の皇子」 の弟役で見せた冷酷な美しさが印象的でしたが、今回はそれをさらに濃く、強く、 客席に知らしめたといえそう。 特に 目を見張ったのが、トランペットを片手に一人で 踊るシーン。 黒燕尾の長い脚を生かし、スポット ライトだけで踊る姿は「これぞ男役!」 といいたく なるほど決まっていて、 女子ならときめかずにはいられません。さらに女役となって珠城さんと踊る場面では、 ひも状の飾りの裾に羽根がいくつもついた黒ラメ のハイレグダルマ衣装が映えるスタイルは圧巻 の一言。 あまりのゴージャスな美女ぶりに、 クラクラしそう。 

大劇場ではお目にかかれないシーンの連続、 宇月

 いるだけで周りをもバッと明るくしてしまう宇月 さんは、シャープなダンスで常に若手をリードし ています。 そんな宇月さんが中心となったダンスがたっぷりと楽しめたのも、 今公演の良さでし た。特に2幕の「リベルタンゴ」では、切迫するような音楽と共に本格的なタンゴが味わえ、大 劇場のショーでもあまりお目にかかれない迫力 あるシーンの連続で、 宇月さんの切れ味鋭いダ ンスも見ごたえたっぷり。月組にはかつて桐生園加さんという、 ダンサー でなおかつ味のある魅力的な生徒さんがいまし たが、彼女ならそのラインを継ぎつつ、 さらに大きく成長できるのではないでしょうか。 

男役の色気が本格的に匂い立つ、珠城

 若手のホープ珠城さんも大活躍です。 男役とし て恵まれた体型は、立ち姿がとにかく美しい。 広 くて頼もしい背中は、思わずうっとりと寄りそいた くなるほど。 正統派二枚目で純朴かつ真面目なイメージがあるのですが、 今回の若手ばかりの 公演では、 グイッと前に出てくる感じがいつも以 上に力強く感じました。2012年の宙組ショー「クライマックス」でも使われた 「月光」の音楽で咲妃みゆさんと踊るシー ンや、スーツにソフト帽まで全身白づくめで踊る 「ベサメ・ムーチョ」 などでは、 男役の色気が本格的に匂い立ち、これから真ん中に立っていく人であろうことを実感させます。 

舞台では一転、堂々さと度胸も満点、咲妃

 このところヒロインを立て続けにつとめていた咲妃さんは、 娘役の中でもやはり別格でした。 すでに完成され た感さえある容姿と落ち着きで、 美弥さんや珠城さんと2人で踊るシーンも余裕を感じさせる美しさ。 「Amazin grace」 では透き通った歌声で、客席を感動の波で覆い尽くします。ふだんはおっとりとした雰囲気ですが、 舞台に立つと一転、堂々と押し出せる度胸も満点で、 今後の活躍がますます楽しみでなりません。
 もちろん4人と咲妃さんだけではありません。 キレのあるダンスが魅力的な貴千碧さんと、 歌にダンスに大活 躍の千海華蘭さんを筆頭に、 星輝つばささんや朝美絢さん、 海乃美月さんや咲希あかねさんらが伸び伸びと 踊り、歌では最近、シンガーとして注目の輝月ゆうまさんが中心となって大活躍。 数あるソロの中でも「ヴァン バイア・レクイエム」は、さすがの喉を聴かせてくれました。 また、 白雪さち花さんや晴音アキさんらの透き通る コーラスも聴きごたえ抜群です。 
 昨年末の「THE MERRY WIDOW」 でも強く感じたのは、 月組の若手はポテンシャルが高いということ。 ど んな難題を与えられても、 果敢にものにしていく根性が伝わってきて、限界を感じさせません。 後半の「ジャズマニア」 では客席降りで、 さらにお客さんも一緒にノリノリとなり、最後はテーマ曲の「New W ave! ~今だから~」でダメを押す、 22名全員が歌って踊って大活躍の舞台でした。
 新年から大劇場がリニューアルされましたが、 バウホールの化粧室も大きく変わりました。 夢の世界にふさわ しい変身で、とても心地よかったこともぜひお伝えしたいと思います。 
 気分がスカッと晴れる舞台で、 宝塚100周年のバウホールも元気に幕が上がりました。 

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