『VIOLETOPIA』

指田先生のデビュー作。『龍の宮物語』や『冬霞の巴里』の世界観が好きですので、ショーも肌馴染みが良かったです。なんかしっくりくる感じが心地よくて全然退屈しなかった。めっちゃ面白いとか言うのでもなく、肌馴染みが良い…。

【繊細な素の琴ちゃんがステキ】

 全編を通して、一人の青年が見る幻想のような世界がつづられています。どうやらこの青年は過去に舞台に立つスターだったらしい。今はその劇場も廃墟のようになっていました。

 現れた琴ちゃんは伊賀の里からおりて(違)ほぼ素なのがステキ! もっとも重要な髪型が、明るい色のツーブロック刈り上げストレートセンター分け、最高でーす!!!(拡声器音量大)グレーのシャツに謎の革ベスト、黒いパンツに黒いブーツ、フードのついたコートという装いもグーで、見た目でもう優勝。前回の激しいショー『ジャガービート』がマニアックにウケていましたが、とにかく繊細な憂い琴ちゃんが大好物な私は、正反対なこっちの方が断然好みです。しかし、ジャガービートもワケワカランでしたが、こちらもまたワケワカランと不評の声もあるようで、いずれも賛否両論!? 宝塚の王道ショーからは少し離れた趣の作品となりました。

【オープニングレビュー】

 青年の記憶がよみがえり、スターだったころの華やかなレビュー場面です。オープニングらしいテーマソングも覚えやすくて、ちゃんと後で頭の中をグルグル回ります(これ大事)。琴ちゃんが出てくるまでに、銀橋でありちゃんからキワミに歌い継いだ時のずり落ち感がうれしい。『1789』で急成長して寂しかったので(オイ)、健在ぶりにホッとしました。イケメンさも天井やぶりです。

 みんながひとしきり盛り上がると、いよいよ奥から静かに琴ちゃんが登場します。その横顔が、やっぱり岩舘真理子か小椋冬美の少女漫画みたいでたまりません。

 そのあとのなこちゃんとの傘のデュエットがとてもおしゃれ。小粋で素敵な曲です。

【ありちゃんのオーバーオール】

 裏方の青年ありちゃんが、舞台女優の詩ちゃんに恋して夢見る場面です。ストーリーはいいのですが、ありちゃんがこっそり衣装を着て詩ちゃんと踊っちゃうところは、もっといい衣装で、もっと豪華な夢見るダンスにしてほしかったなとモヤモヤが残ったかも。でもありちゃんのオーバーオールが可愛いのでOK。

【ヘビに尽きる】

 サーカス小屋のシーンは間違いなく、この公演の目玉だと思います。使用されている平沢進さんの『パレード』という楽曲は、SFアニメ映画『パプリカ』の主題歌で、界隈では有名な作品だそうです。この場面もその独特なムードに操られるように、妖しく不思議な世界観に包まれていました。

 砂漠の村にやってきた旅芸人一座に喜ぶ村人たち。しかし、なにやら危険なニオイも。旅芸人の女愛子ちゃんの歌に合わせ、団長キワミが白い鳥を操り、村人や少女なこちゃんを催眠術にかけようとするも、なぜかなこちゃんだけは催眠術にかかりません。そこへ、ヘビの琴ちゃんが飛び出してきました。これがルックスからしてイイ! 自毛をぺったりとなでつけ、前髪にアクセサリーをつけてるのがなんか少女っぽくて可愛い。全身テラピカのスーツでぬるぬる動くさまは関節がなくなったのか。シュルッと舌を出すような動きや、シャッと威嚇する感じなど、どこからどう見ても『ヘビ』で、目が釘付けになって離せない。もはやカッコいいという形容詞をも超越してしまう礼真琴すごい。

ヘビはなこちゃんに恋をし、なこちゃんもヘビを助け出そうとしますが、キワミ団長に引き裂かれてしまいます。ヘビもキワミに洗脳されていますので、ヨシヨシされたらちょっと戻りかけますが、やっぱりなこちゃんへの思いは断ち切れません。それでも所詮ヘビ。抗うことはできず、やがて次の目的地へと砂漠を去っていく旅一座とともに、浮かび上がるヘビの切ない姿が余韻を残し、胸がきゅっとなります。ぜひこの場面になんか賞をあげてほしいです。

【貴族と不良の中詰】

宮廷で不良がはしゃぐ場面。みんなベレー帽かぶって、衣装が派手で可愛い。琴ちゃんの足上げがまたすごくて、滞空時間が長いので、完全に天井を向く靴底にちょっとしたことわざが書かれてても読めそう。久しぶりに客席降りがあって、2階席にも生徒が来ます。私は会席がオール2階だったので、琴ちゃんがどうしてたのかは一切知りません泣。最後にみんなが銀橋に並び、踊るダンスがビシッとそろってて気持ちいい。やっぱり客席降りがあると盛り上がりは全然違いますね。

【楽屋で若手】

 キワミはじめ若手の場面。売り出し中の若手男役が、このメンバーに凝縮されています。

【カッコいいキャバレー】

 舞台中心にスポットを浴びて、黒燕尾にハットのなこちゃんがソロで踊る男前の場面です。歌の音階が激しく謎めいてて客席を困惑させるも、そのあとすぐに愛子ちゃんがスペシャルな歌声を響かせ無事救出。しかし、キワミとなこちゃんは、昨今、歌手揃いの星組におけるオアシスでもあるので、これはこれでヨシ!

 そして、スーパー美女のありちゃん登場。星にやってきてすぐ女装した時はとんでもないごつさだったのに、今回はオカマ感ゼロ。むちゃくちゃキレイです。

 再び素のスタイルでやってきた琴ちゃん。さまざまな幻想に惑わされ、孤独な自分を感じながらも原点に還っていく感じでしょうか。琴ちゃんらしいソロダンスに注目です。れいちゃんもコンサートでソロダンスやってましたが、それぞれの個性がでるソロダンスって最高ですね。静かな展開の場面ですが、何度見ても飽きることはありません。

 

【ぴーちゃんの最後の銀橋】

ぴーちゃんはダンスのキレもいいし、歌や演技に独特のクセがありますが、年を追うごとにいい味を出して、これから渋い役者さんになると思っていただけに、退団が残念です。ラスト銀橋はカッコよく、ブラウンのスーツにトレンチコート、ハットで『As Time Goes By』なんて名曲で、最高のプレゼントをファンに残してくれました。舞台で踊るのは退団同期のマイケル、美人派遣OL(全ツボニータ参照)彩園ひなちゃんのほか、ゆらんらんの巨大さに驚くおまけつき。

からの、若手押し男役4人とロケットでした。

【星組らしい群舞に娘役も巻きこまれ】

大階段に並ぶVの字の男役たち。そこへ降りてくる琴ちゃん。全員ツルテカの衣装に近未来サングラスが面白い。琴ちゃんの時速160kmの回転が見られるスピード群舞で、星組らしいドヤドヤ感もたっぷり、憂いと繊細は忘れてください。途中で琴ちゃんが下手に向かってアゴでおりゃあっと威嚇するところがツボ。琴ちゃんが去ってからは、娘役も加わって、男役とともに例のサングラスを使ってドヤドヤしまくります。星組の娘役だからさせられているのか…なんだかちょっと可哀想…涙。

【ロマンチックなデュエットダンス】

 曲のアレンジがオシャレで、衣装もイイ! 振り付けも可愛いです。ただ、せっかく礼真琴様が手を出してくれてるのに、いちいち焦らしたりしてめんどくさい女だなとイラついてることは内緒にしておきます(振付だよ)。とてもロマンチックですが、もっとスローなのもいいなあ。2人のファーストデュエット「風と少女」の素晴らしさに激しく衝撃を受けたので、またあのようなデュエットダンスも観てみたいです。

 パレードの衣装もスタンドカラーがステキでした。中詰めも可愛いし、群舞のツルテカは苦手だけど、私は有村先生の衣装は結構好きかもです。

 王道とは少し毛色が違ったショーですが、なによりヘビがすごかったし、なかなか面白いショーでした。

 しかし、ショーの当たりって何を基準にするんでしょうね。それは個人の好みの問題なので、基準なんてもちろんありませんが。

私がこれまで見た中でのベスト5は

『GLORIOUS!!』『レビュー誕生』『TAKARAZUKA舞夢!』『ア ビヤント』『THE ENTERTAINER!』

でした。姿月さん、春野さん、とうこちゃん、みっさま、歴代のご贔屓で一つはお気に入りのショーが得られたなんて幸せです。琴ちゃんには『VERDAD!!』という名作がすでにありますが、退団までにぜひ大劇場ショーでもできたらいいなと願っております。

★ところで、親切な人がいて、今回の公演の曲を全部調べてくれた人がいました。

世の中、まめな人がいるものです、感謝!

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